小学校のプログラミング授業の必修化に伴い、子供向けのプログラミング教室やプログラミング用ソフト・アプリなどに関心が集まっているが、いきなり教室に通ったりする前に、まずおすすめするのは、わかりやすい入門書を読むことだ。
本で学ぶというスタイルは、子供にとっては一番親しみやすいやり方だし、スクールの受講料に比べれば値段も安い。
この記事で紹介するのは、2020年「こどもプログラミング本大賞」を受賞した本の数々だ。
この賞は、「子供に最もおすすめのプログラミング本を決める」という主旨で、2019年に創設された。
出版取次最大手の日販(日本出版販売)が主催し、小学校の生徒・保護者・教師、プログラミングスクール講師、プロのエンジニアなど総勢1,200人以上が投票に参加している。
本当に子供におすすめしたい本が選ばれているので、ぜひ親子でじっくり読んでみてほしい。
目次
こどもプログラミング本
大賞2020
こどもプログラミング本大賞は、「絵本・読み物部門」「操作マニュアル部門」「保護者・教員向け部門」という3部門に分かれている。
2020年度は、それぞれの部門で3作品、計9作品が入賞となった。
大賞はScratchの入門書
2020年、大賞に選ばれたのは、世界の子供たちに愛用されているビジュアルプログラミング言語「Scratch」(スクラッチ)の入門書だ。
子供にスクラッチをやらせてみたい、プログラミング教室に通わせる前に基本を学ばせたい、学校の授業に備えたい、という人におすすめの本だと思う。
ドリル形式になっていて、5つのプロジェクトを完成させながら、プログラミングの基本的な考え方を身につけていく。
イラストやチャートが多用されているので、小学校低学年でも、直感的に理解できるはずだ。
- 著者:瀬戸山雅人・鈴木亜弥
- 判型:B5判
- ページ数:104
- ISBN:978-4-87311-899-4
- 発行日:2019/12/19
- 発行元:オライリー・ジャパン
絵本・読み物部門
この部門は、パソコンやタブレットなどを使わず、読むだけで「プログラミングとは何か」「プログラミング的な思考とはどんなものなのか」が学べる、というジャンルの本だ。
子供に人気の「しかけ」がたくさんあり、無理なくプログラミングの基本が学べる本。低学年の子供でも、親子で遊び感覚で読み進めれば、充分楽しめる。
「デジタルテクノロジーやインターネットの世界を超図解」というサブタイトルどおり、簡単な図を使って、わかりにくテクノロジーの世界を子供たちにもわかりやすく説明しているのがこの本の特徴。
「世界中のおもしろい動画が見られるのはどうして?」という子供たちの身近な疑問から、「なんでパケットで送るの?」といった、少し高度な話まで、子供たちの好奇心に応える形で本がまとめられている。
ジャンルとしては学習マンガ。『プログラミング教室』がシリーズ第一弾で、このバージョンアップ編は第二弾だ。
初めてプログラミングを学ぶ高学年か、すでにプログラミングの知識がある子供を対象に書かれている。
ビジュアルプログラミングのScratchはもちろん、本格的なプログラミング言語Pythonにもチャレンジする。
操作マニュアル部門
この部門では、子供に人気のゲーム「マインクラフト」や、手のひらサイズの小型パソコンRaspberry Pi(ラズパイ)を使ったプログラミングの入門書が選ばれている。
- インプレス『できる パソコンで楽しむマインクラフト プログラミング入門』
- 翔泳社『親子で楽しく学ぶ!マインクラフトプログラミング』
- 誠文堂新光社『ジブン専用パソコンRaspberry Piでプログラミング』
ただし、本で紹介されているマインクラフトやRaspberry Pi(ラズパイ)のバージョンが古いため、最新バージョンでプログラミングを体験したいという人にはおすすめしない。
保護者・教員向け部門
子供は図鑑が大好きだ。この部門の本は、イラストや図、写真が多用されていて、家庭や教室で、子供と一緒に楽しめる本ばかりだ。
チョコレート工場や自動炊飯器など、身近なものが「どうやって作られていくのか」「どんな働きをしているのか」を考えながら、プログラミング的な思考を身に付けていく本。小学1~3年生向け。プリントして使えるワークシート付き。
プログラムを書く上で不可欠なアルゴリズムを独学したい人のための本。基本的な26のアルゴリズムと7つのデータ構造が、すべてイラストでわかりやすく解説されている。
コンピュータサイエンスに関するあらゆる基本がやさしく学べる入門書。
図鑑というだけあって、図や写真イラストを豊富に使い、ひとつのトピックを見開きで解説。デジタル世界で生きる子供たちが抱く様々な疑問や好奇心、それに応えてくれるのがこの本だ。ぜひ一家に一冊!
まとめ
子供のプログラミング学習におすすめの本を紹介してきたが、「プログラミングっていったい何?」という大人のための入門書としても使えると思う。
プログラミングはやったことがないが、『作って学ぶScratchドリル』を読みながら、プログラミングを学んでみようと思えてきたし、『決定版 コンピュータサイエンス図鑑』を読んだら、デジタル社会を生き抜くための基礎知識が身についたと思えてきた。
プログラミングを学ぶ前にコンピュータの使い方、特にタイピングを学びたい場合は下の記事を参考に。
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