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タイピングの速さ:目指すべき1分間のスピードとは

タイピングでは、1分間に何文字打てれば速いと言えるのか。自分のスピードは平均より速いのか遅いのか。オフィスワークでは、どの程度の速さが基準になっているのか。

タイピングの腕試しサイトは多数あるが、速さを計るWPM(1分間あたりの入力単語数)の定義もマチマチだし、日本語タイピングの場合、入力する文字の多さだけを競い、変換作業は含まれないので、本当の速さが測定できるのかという疑問もある。

この記事ではタイピングの中でも特に、ローマ字入力による日本語タイピングの速さについて、あらゆる観点から検証してみた。加えて、1分間の練習問題も用意したので、自分のレベルも確認できる。

タイピング日本一

1秒間21文字

競技タイピングの世界で女王と呼ばれているのがmiriさんという女性だ。彼女は、タイピングの速さを競うRealforce Typing Championshipという大会で、3年連続で日本一を獲得している。

競技タイピングとは、実用目的ではなく、あくまでも競技としてタイピングの速さと正確さを争うものだ。ちなみにmiriさんは、テレビ番組などに字幕を出す仕事をしている。

miriさんのTwitterには「1秒間に21文字くらい打てる変人です」と書かれている。これは、1分間に直すと1,260文字にもなる!

英語タイピングの世界では、速さの基準にWPM(Words Per Minute)がよく使われるが、miriさんの場合は1,260 KPM(Keystrokes Per Minute)と表すのが正しい。

KPMとは

Keystrokes Per Minuteとは、1分あたりの入力文字数のこと。打鍵数と呼ばれたり、SPM(Strokes Per Minute)と表記されたりすることもある。

例えば 8時に星を見る という文をローマ字入力でタイピングする場合、入力するキーは 8jinihosiwomiru なので、合計で15 keystrokesになる。

WPMとは

Words Per Minuteとは、英語タイピングにおいて、1分あたりの入力単語数を指す。ただし、厳密に言うと少し違う。わかりやすい例で説明しよう。

① I am good at piano
② You speak Japanese pretty well

①② は両方とも、単語数が5つだが、入力するキーの数は、①が18、②が30になる。
*アルファベットだけでなく、スペース、ピリオド、カンマなども1キーとして計算する

このように単語数は同じでも、入力するキーの数は大きく異なる場合がある。そこで、実際に入力した単語数とは関係なく、入力したキー5つ分で1単語と計算することになっている。

つまり、1分間に200キーを入力できた場合、40 wpmとなる。200 kpm = 40 wpm

覚えておいた方がいいのは、WPMは英語タイピングにおける速さの基準ということだ。

タイピング世界一

アメリカの女性タイピスト

タイピストのステラ・パジュナスは、タイピングの速さが評判となり、IBMの電動タイプライターのプロモーション活動も手伝っていた女性。そんな彼女が1946年に達成したのが216 wpmという驚異的な記録だ。

更に上を行く17歳の少年

ステラの時代に主流だったタイプライターはコンピュータに取って代わられ、実用的なタイピングの他に、今では競技タイピングというジャンルもあり、国内外で熱戦が繰り広げられている。

アメリカで行われる代表的なタイピングのトーナメントUltimate Typing Championshipで、2020年に優勝したのは17歳のチャクことアンソニー・エルモリンだ。

この大会には、アメリカ、カナダ、イギリスなど世界7カ国から、タイピングファンがオンラインで参加した。

チャクは、予選で自己ベスト233 wpmを記録。本戦においては最高210 wpm、平均180 wpmの速さで優勝し、賞金5,000ドルを獲得した。

チャクことアンソニー・エルモリン

アメリカ人の平均WPMは

アメリカ人の平均タイピング速度は41 wpmで、正確率は92%という統計がある。男性の平均は44 wpm、女性は37 wpmで、男性の方がやや速い。

入力作業が多い仕事では60 wpm以上が望ましいと言われている。

日本語タイピングの基準

WPMは英語タイピングの基準だと説明したが、日本語タイピングの場合は、何が速さの基準になっているのだろうか。

タイピングの検定試験などでは、1分間で打てる文字数という表現がよく使われる。ここで言う「文字数」とは何か。

検定試験の「文字数」とは

タイピング関連の主な検定試験では、試験時間内に入力できた「文字数」で点数が計算され、級や段などが認定される。この文字数とは、入力済み漢字と仮名の文字数を指す場合が多い。

例えば 卒業式に出席します という文を入力した場合、文字数は9文字になる。

入力済み漢字と仮名の文字数を基準にしている検定など
BK(ビジネスキーボード)
W検(日本語ワープロ検定)
毎パソ(毎日パソコン入力コンクール)

その他の基準もある

入力済み仮名の文字数を基準にしている検定
P検(ICTプロフィシエンシー検定試験)
この検定では、入力した文字の変換操作は行わないので、時間内に入力できた仮名の文字数でスコアを算出する

入力済みキーの数(打鍵数)を基準にしているサイト
e-typing
このサイトでも、入力した文字の変換操作は行わないが、仮名の数ではなく、時間内に入力できたキーの数(打鍵数)でスコアを算出している。

検定等 速さの基準 変換
ビジネスキーボード 漢字と仮名の数
日本語ワープロ検定 漢字と仮名の数
毎パソ 漢字と仮名の数
P検 仮名の数
e-typing キーの数

卒業式に出席します
そつぎょうしきにしゅっせきします
sotugyousikinisyussekisimasu

漢字と仮名の数をカウントすると 9文字
仮名の数をカウントすると 16文字
キーの数(打鍵数) をカウントすると 28文字

このように試験やサイトによって基準が違う点を覚えておこう。

タイピングのレベル

日本語タイピングでは、1分間にどれくらい入力できればいいのか。目指すレベル別に文字数の目安を示した。ここで言う文字数とは、入力した漢字と仮名の合計数だ。ミスがあった場合は、入力した文字数からミスの分をマイナスする。

同じ文字数の文章であっても、漢字含有率(どれくらい漢字が含まれているか)によって、難易度に差が出るので、だいたいの目安としてほしい。

1分間に入力できる文字数とレベル
120 タイピングの専門職を目指せるレベル
100 タイピングが速いと誰もが認めるレベル
80 一般的なオフィスワークなら問題なくこなせるレベル
60 仕事で使うなら、まず目指すべきレベル
40 手書きと同程度~やや速いレベル
20 キーの配列を覚え、基本操作ができるレベル

日本語ワープロ検定の問題を入力してみよう

実際に「日本語ワープロ検定」の準1級で使われた問題を入力してみよう。1分間にミスなく何文字入力できるか。速さだけでなく、正確さも大切だ。1分間の計測は、スマホの時計アプリにあるストップウォッチ機能を使うと便利だ。

 あるとき、小学生のころの給食の思い出を文章にまとめてほしいという仕事が舞い込んできた。古い記憶であるため、定かではない部分も多々あるが、それらを調べ直してみるのも面白そうなので、引き受けてみた。
 すると、黒板の横に貼り出される献立表を確認するのが日課だったことや、大好物であるシチューの日には、お代わりをしようとひそかに心に決めていたことなどが鮮明によみがえってきた。それと同時に、給食当番を一緒に行った友人やいたずらな男子、優しかった担任の先生の顔も次々に浮かび、知らず知らずのうちに顔がほころんだ。
 わたしが小学生のころはパンが主食で、在学中に米飯が提供されることは一度もなかったため、学校ではしを使ったことはなかった。そのため、白身の揚げ物やシチューなどの煮込み料理も、すべてわたしたちは当時「先割れスプーン」と呼ばれる道具を用いて食べていた。これは、突き刺すことと、すくって食べるということが1本でできる利便性が買われ、1950年代から全国の小中学校で採用されるようになったといわれている。わたしは特に意識をしないまま卒業してしまったが、原稿を書くに当たって調べてみると、形はスポークと呼ばれる道具に似ているような気がする。中世ヨーロッパから既に使われていたようだが、真偽は定かではない。わたしは給食以外で用いたことはないが、種の多い果物に添えて提供されることがあるらしい。また近年では、同様の形状でプラスチック製のものが弁当に付属されているのを見た。さらに、指先の力がなくても食べ物を突き刺したりすくったりして口に運べる便利さから、介護用品として利用され、少々不器用に扱っても使えることから保育の現場でも活躍している。
 先割れスプーンをきっかけに、次々と頭に浮かんでくる楽しい思い出は尽きない。4時間目が終わるころ、学校中に漂うおいしそうな香りと、それに釣られて浮き立つ気持ちがよみがえる。学年や組名が書かれた白い給食着や帽子、ずっしりと重かったおかず入れの容器などの記憶に、しばしの時間和ませてもらった。

第127回(令和3年7月)
日本語ワープロ検定試験
準1級問題(速度)より引用

過去の問題(PDF)をダウンロードしたい場合は、日本語ワープロ検定のページへ

ネットでタイピング速度を測定

自分で時間や文字数をカウントするのは面倒、という人は、「毎パソ」(毎日パソコン入力コンテスト)の体験版を利用してみよう。1分間の試験で、何文字入力できたかがわかるようになっている。毎パソ体験版

毎パソの体験版

毎パソにアクセス→体験版→第1類 文字入力→第6部和文B「一般」→練習問題→次に進むとクリックしていくと、テストを体験できる。

毎パソの試験結果

試験結果の画面で一番上に表示される「正解数」というのが、1分間に正しく入力できた文字数だ。ミスが少ないと特別点が加算され、正解数+特別点が、毎パソでの得点となる。

タイピングの検定試験

3つのタイプがある

タイピングの検定試験には、大きく分けると3つのタイプがある。
①タイピング技能だけをみる試験
ビジネスキーボード(BK)

②文書作成能力(Wordなど)の一部に、タイピング技能のテストが含まれている検定
日本語ワープロ検定試験(W検)

③IT関連の技術・知識を問うテストの一部に、タイピング技能のテストが含まれている検定
P検(ICTプロフィシエンシー検定試験)

タイピングの速さと正確さだけを証明したいというなら、ビジネスキーボード(BK)一択だ。Wordなどの文書作成ソフトの使い方も含めた検定を受けたい場合は日本語ワープロ検定(W検)、広くIT関連の知識や技能の証明として取得するならP検が向いている。

コンクールなら毎パソ

毎パソ(毎日パソコン入力コンクール)は、全国規模のタイピングコンクールだ。学校やパソコンスクールなどで団体参加する人も多い。

2021年6月大会の結果を見ると、「和文タイピング・一般」ジャンルの1位は、1分間に236文字をノーミスで打っている。高校生の1位は1分間に293文字。という感じで、上位者のレベルはとても高い。

コンクールではあるが、得点に応じて級と段が与えられる。しかし、パソコンスクールの講師なども参加し、上位にランキングされると氏名も発表されるので、資格取得が目的というよりは、あくまでもコンクールという位置づけだ。

ネットで手軽に測定

もっと手軽にタイピングの速さを測定するなら、e-typingというサイトがおすすめだ。短文から長文まで、様々なテーマの練習問題があり、タイピングのレベルチェックができるようになっている。

ただしタイピング初心者の場合、このサイトにはまり過ぎて、基本練習がおろそかになってしまう人がいるので注意。

レベルチェックのテストを受けると、下のようなスコア表が表示される。

e-typingのスコアの見方

①上のスコア表を見ると入力文字数が315となっているが、アルファベットのキーをいくつ入力したかという数字なので、keystrokesと表現する方が正しいと思う。

②315 keystrokesを48秒07で入力したので、これを1分あたりの入力数に直すと、393.17KPMとなる。表では393.17WPMとなっているが、KPMで表現するのが正しい。

③スコアは、WPMに正解率の3乗をかけて算出されている。
393.17×97.46×97.46×97.46≒363

④e-typingのレベルは、EからAのようにアルファベットが付いているのだが、スコアが300を超えると、Thunder, Ninja, Cometなどユニークなネーミングが出現する。

検定試験のレベル比較

タイピングの検定試験やコンクールなどは、その試験内容が様々な点で異なっている。

変換操作を行うのか、行わないのか。ミスは厳しく減点されるのか、それほど減点されないのか。問題文に漢字がどれくらい含まれているのか、といった点だ。

また、試験によって到達目標も違うので、同じ1級でもレベルには大きな差がある。

下の表は、各テストの、日本語タイピングのレベルを比較したものだ。検定を受ける時には目安にしよう。

表の見方
BK W検 毎パソ P検 e-typing
    1 級   300
        250
S       230
A       210
  初段 準1級   200
  1級     170
B       160
  準1級 2級 準2級 150
      3級 120
  2級 準2級   115
C       105
  準2級 3級 4級 100
    4級   95
    5級   85
    6級   80
  3級 7級   70
    8級   65
    9級   60
  4級 10級   55

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BK:ビジネスキーボード
W検:日本語ワープロ検定試験
毎パソ:毎日パソコン入力コンクール
P検: ICTプロフィシエンシー検定試験

仕事で使えるレベル

仕事で使える速さを目指すなら、ビジネスキーボードB判定、ワープロ検定準1級、毎パソ2級、P検準2級、e-typingならスコア150以上が目安になる。

タイピングが速いというだけで就職が有利になることは稀なので、資格試験にチャレンジするなら、より幅広い技能や知識を問うものにチャレンジした方がいいと思う。

各試験の注意点
P検:タイピングの速さを測定するテストは、準2級までしか設定されていない
毎パソ:毎パソには色々なジャンルがある。今回比較したのは「1類・第6部 和文B」

タイピングが速くなる方法

タイピングを練習し、ある程度の速さにはなったが、更なるスピードアップを目指したいという人は、下の5つをチェックしてみよう。

速さへの近道 5つのポイント

①とにかくタッチタイピング
タイピングの時「どうしても手元を見てしまう」というキーはないだろうか。例えば、ごくたまにしか打たないQを打つ時、チラッとキーボードを見たりしていないだろうか。

こういう不得意なキーが一つでもあると、スピードが一気に落ちてしまう。とにかくすべてのキーを絶対に見ないで打てるようにすること、タッチタイピング(ブラインドタッチ)を完璧にすることが、速度を上げる早道だ。

②数字や記号の練習もする
アルファベットの位置を覚えた段階で、地道な練習をやめ、すぐ実践に入ってしまう人が多い。最初に数字や記号の位置をしっかり覚えておかないと、後々の伸び悩みの原因になる。

③速く打てるローマ字を使う
例えば「中長期」をローマ字入力する場合
CHUUCHOKIよりTYUUTYOUKIの方が打ちやすい。

このように、同じ言葉を入力するのに、何種類かのローマ字が存在する場合があるので、いちばん簡単に入力できるローマ字を選ぶようにしよう。

関連記事
ローマ字変換表:タイピングが速くなるローマ字を使おう

④自分の指使いを決める
タイピングでは、この指でこのキーを打つ、ということが決められている。というか、推奨されている。

その決まりに沿って入力するのが一般的には効率的なのだが、世の中には手の大きな人も、小さな人もいるし、指の力も人それぞれだ。

決まりどおりだと打ちにくいキーがあったり、違う指の方が早く打てたり、という場合は、独自の指使いをしても問題ない。

タイピングの女王miriさんは、NやMを右手の親指で、Lを中指で打っているそうだ。こうした独自の指使いをわかりやすく表にしたものを運指表といい、タイピングの専門家や競技タイピングの上位入賞者などは、皆独自の運指表を作成している。

⑤自分に合ったキーボードを使う
打ちやすいキーボードを使うと、入力が速くなるだけでなく、長時間の利用でも疲れにくくなる。

どんなキーボードが合っているかは、実際に使ってみて、感触を確かめるしかない。キーの大きさ、沈み込み具合などを確認し、できれば自分にとって打ちにくい言葉を打ってみる。

更に、記号を打つ時に多用するシフトキー、変換で使うスペースキーが、ちょうど良い位置にあるかもチェックしよう。

ワークライフバランスを実現

typing.comというアメリカの教育サイトが、タイピング速度と仕事時間の関連性に注目し、おもしろいデータをまとめている。

彼らはまず、労働者の昼休みの長さと、タイピング速度の関係を調べた。その結果、45分以上の昼休みを取った人のタイピング速度の平均は54.5 wpmだった。

これに対して、10分未満しか昼休みを取らなかった人たちのタイピング速度は、平均して49.3 wpmだった。

次に、仕事を家に持ち帰る頻度に注目。すると、仕事を1度も持ち帰らない人は、タイピング速度の平均が55.4 wpmだったのに対して、週に5日以上、持ち帰っている人たちは平均49.8 wpmだった。

ワークライフバランスの実現には、タイピング速度を上げることが必須のようだ。